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東海地方(岐阜・愛知・三重)の地盤の状況

東海地方にある濃尾平野は、この地方発展には欠かせない地で全国でも有数の広さです。しかし、地盤はとても弱く、地震によって大きな被害が予想される地でもあります。今後心配されている南海トラフ地震の被害は大きな揺れに加え液状化の被害も全国で最悪クラスと予想されています。 濃尾平野は、地下の硬い岩の層が、三重県の養老山地に向かって西へ行くほど深く沈み込んでいて、その上に軟らかい粘土や砂でできた沖積層と呼ばれる地層が堆積(たいせき)して出来ています。表層の地盤が弱い場所では、地震の波が地下で重なり合うため、揺れが強くなったり、長く続いたりします。濃尾平野は西に行くほど軟らかい地盤の層が深くなるため、地震の揺れも西側ほど大きくなると予想されています。内閣府が出した「表層地盤の揺れやすさ全国マップ」では、名古屋市を含む愛知県西部や三重県桑名市、岐阜市、岐阜県大垣市など濃尾平野一帯が揺れやすいとされています。また国の有識者会議で公表した南海トラフ大地震の被害想定では、震源域に近い沿岸部に加え、地盤の弱いこうした地域でも震度6強や7の揺れが発生すると予想されています。1891年の濃尾地震では、愛知県で約2600人、岐阜県で約5000人が死亡しています。東海地方の都市部では、人口密集、建物の高層化が進み、濃尾地震が再び発生した場合の被害想定は愛知県だけで死者が9600人に及ぶと予測しています。

岐阜県震度分布図

愛知県震度分布図

三重県震度分布図

液状化、内陸部含め広範囲で

液状化の危険も大きい。南海トラフ巨大地震の被害想定で、愛知県は液状化による全壊棟数が約2万3千棟に上り、全国で最悪です。三重県の伊勢湾岸や静岡県の遠州灘沿いなど地盤が軟弱な沿岸部も被害が予想されています。静岡県の浜名湖周辺には湖面を埋め立てた人工地盤が広く存在し、かつて湖底だった場所は地盤も軟らかく液状化の被害も予想されます。 また、液状化は沿岸部に限った問題ではありません。内陸の岐阜県では、揺れによる全壊とほぼ同数の被害が液状化によって出るとみられています。 液状化は、地震による水圧の上昇で地盤が一時的に液体化する現象で、地下の水位が被害を左右します。濃尾平野は木曽川、長良川、揖斐川の木曽三川の流域に広がっており、地下ではそれぞれの川の伏流水がつながっていると予想され、そのため地下水位が高く、広い範囲で被害が出やすいと予想されています。過去の地震でもたびたび液状化しており、かつて被害のあった場所で再び液状化が起きる可能性が高いと思われています。しかし、対策は進んでいないのが実情です。公共施設や大型施設は建築基準法で対策が義務づけられていますが、戸建て住宅には法規制がありません。東海3県はいずれも液状化の危険度を示す地図をつくり、ホームページなどで公表していますが、対策そのものは個人の負担。既存の住宅に対策を講じる場合は数百万円の費用がかかるため、取り組みは広まっていません。また、被害は建物にとどまらず、ライフラインや道路、堤防にも及ぶ可能性があります。

岐阜県液状化危険度分布図

愛知県液状化危険度分布図

三重県液状化危険度分布図

東海地方は南海トラフ地震が発生した時、
甚大な被害が想定されています。

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